看護の仕事は、自らの感情をコントロールして患者さんに接する、感情労働の側面が非常に強い職業です。自分の体調が悪くても、プライベートで悲しいことがあっても、ナースステーションを一歩出れば、安心感を与える笑顔の看護師という役割を演じることが求められます。しかし、患者さんやその家族の不安を受け止め、常に穏やかな笑顔で接し続けることは、想像以上に精神的なエネルギーを消耗するものであり、心身にとって大きな負担となります。

理不尽なクレームを受けたり、患者さんからの心ない言葉を投げかけられたりしても、立場ゆえに反論できず、じっと耐えなければならない場面もあるでしょう。頑張っている中で責められ、本音と異なる反応をするのは本当につらいものです。自分の尊厳が傷ついているにもかかわらず、相手の心情に配慮した言葉をかけなければならないという矛盾は、心の中に消えない傷を積み重ねていきます。この感情の抑圧が続けば、見えない疲れとなって重くのしかかってくるでしょう。

こうした感情の摩耗を防ぐためには、無理に明るく振る舞おうとする自分を認め、ときに「今は疲れているんだ」と自分の本音を許してあげることが必要です。仕事が終わった後に、同僚と「今日は大変だったね」と気持ちを分かち合ったり、一人で静かに感情を吐き出せる場所を持ったりするのが救いになります。このように、笑顔の裏側にある本当の自分の声に耳を傾け、心のバランスを保つ場を持ちましょう。